「やっと昼休みだー! 二人とも、購買行こうぜ!」
「あ、ごめん。オレ今日は弁当持ってきてる」
「相模が弁当を持ってきてるだと……!?」
いつものように購買へ誘ってくれた若宮に謝ると、大袈裟なくらいに驚かれてしまった。元々リアクションが大きいタイプではあるけど、そこまで驚く必要あるだろうか?
「そんな驚かなくてよくない?」
「いやいや、ふつう驚くだろ! 中学から昼飯ほぼ毎日一緒に食べてるけど、お前が弁当持ってくることなんてほぼなかったじゃん」
「確かにそれはそうだけど」
「だろ? だから驚いたんだって。柴崎もそうだよな?」
「まあ、気持ちはわからなくもないかな」
どうやら顔に出ていないだけで、もう一人の友人もそれなりに驚いていたらしい。
「で、その弁当どうしたんだ?」
「あれじゃない? シェアハウスに移ったって言ってたし、そこの人が持たせてくれたんでしょ」
「正解」
そう、オレの弁当はシェアハウスの同居人――社さんが持たせてくれたものだった。自分たちの分を作るついでに用意したとは言っていたけど、わざわざ作ってくれたこと自体が嬉しくて。実はちょっとだけ昼休みを楽しみにしていたのは内緒だ。もっとも、友人二人にはバレバレだったようだけど。
「嬉しそうだね、相模」
「それは……まあ」
微笑ましげな二人の視線に恥ずかしくなって、オレは堪らず顔を逸らした。