秋ノ瀬家の事情


ss『君を待つ深夜』のに登場する棗、祈、響也の三人。私はまとめて「秋ノ瀬家」と呼んでいるんですが、彼らに血縁関係はありません。作中でも書いた通り、事情を抱える祈と棗が居候している形です。

 

今回の記事ではその事情って何? 祈はなんで寝たがらなかったの? という部分についてお話しようと思います。

興味ある方はお付き合いいただけると嬉しいです。

 

 

三人の関係

秋ノ瀬家の三人は血縁関係のない家族ですが、「響也と棗」「響也と祈」「棗と祈」それぞれの関係は大体こんな感じ。

  • 響也と棗
    遠縁の親戚。棗は小さい頃からあやかしに興味を持っており、夏休みになると長期で響也の家に泊まりに来ていた。そのため以前から仲がいい。
    成長しても棗のあやかしへの興味は変わらず、藤波市内の高校へ進学することを決める。その際、学校に比較的近い秋ノ瀬家に居候させて欲しいと転がり込んできた。
     
  • 響也と祈
    ご近所さん。祈が小さい頃からたびたび面倒を見てもらっており、よく懐いていた。
    しかし今から数年前、祈の両親がとある事件に巻き込まれ死亡。兄も行方不明になってしまう。祈は遠い親戚に引き取られる予定だったが、彼女の精神面を考慮して響也の元へ預けられることに。
    その判断が功を奏したのか、現在の祈は(少なくとも表面上は)以前の明るさを取り戻している。
     
  • 棗と祈
    たまたま同居することになった同級生。昔から響也の家を出入りしていたため幼い頃に何度も顔を合わせている(なんなら一緒に遊んだこともある)が、二人とも覚えているようないないような……と微妙な反応。夏休みにだけ会える子供とよく遊んでいた、という記憶はある。ようはその時の相手が棗/祈だった自覚がない状態。
    二人ともあまり人見知りをしないうえ、「響也が同居を許したということはいい子なんだろう」という感じで比較的あっさりと相手を受け入れた。一緒に登下校したり買い物に行ったりと仲がいい。

三人での生活が始まったのは棗と祈が高校に入学する少し前。設定上の現在は二人が高校2年生に進学した春なので、ちょうど1年くらいの同居生活を経たことになります。

 

祈は棗の事情を知っていますが、棗は祈の事情をあまり把握していません。みんなでお墓参りに行くので両親が亡くなっていることは知っていますが、お兄さんが行方不明かどうかは確信を持てていない――お兄さんがいることは薄ら知っているけれど、響也も祈も話したがらないので確認が取れない、という状況です。

棗自身は本人が話したくないなら別にそれでいいと思っているので、現状に不満はありません。ただいつか話してくれたら嬉しいな、とは思っているようです。

 


祈のこだわり

祈が頑なに寝ようとしなかったのは、響也に「おかえり」と言うためです。彼女にとってそれ以上の理由はありません。

先述した通り祈は両親を亡くし、兄が行方不明になっています。それゆえに家族が帰って来ない状況にひどく不安を覚え、響也と棗が揃っていることを自分の目で確認したくなってしまうのです。祈はこのことを誰にも話していませんが(もしかすると無意識の可能性もある)、響也は過去の彼女を近くで見ていたのでなんとなくわかっています。それが作中でいうところの「事情に心当たりがある」ですね。

 

棗もある程度の事情は把握してるし察しも悪くない方なので、ちょっと考えればわかりそうなんですけどねぇ。なまじ普段の祈がそういう面を隠してしまっているので気付けないのでした。

きっかけさえあれば気付けそうだよな~と思いつつ、自分で気付くより寝惚けた祈から本音を漏れ聞く日の方が早そうな気はします。

 


今回の記事はここまで。

祈の過去が重めな以外は平和な秋ノ瀬家の話でした。お兄ちゃんはあくまで行方不明、実際はどこかで生きているので、いつかは彼も加えた四人で秋ノ瀬家になるかもしれませんね(執筆時点でどうなるか未定)。